注文住宅のマイホーム計画をご検討されている方は低炭素住宅という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
低炭素住宅は「長期優良住宅」とよく比較される所管行政庁による認定制度です。
地球温暖化問題をうけ世界的に脱炭素社会に向けた取り組みが加速するなか、日本国内でも持続可能な低炭素・循環型社会の構築にむけた取り組みが促進されています。なかでも人口が集中する都市部における二酸化炭素排出量の削減は社会的な大きな課題です。政府は都市部における二酸化炭素排出量の削減も目指し、省エネルギー性に特化した低炭素住宅の普及を促進しています。
長期優良住宅は「省エネルギー性」「耐震性」「更新の容易性」「劣化対策性」「バリアフリー性」など住宅を数世代に渡り長持ちさせる基準が設けられた住まいですが、低炭素住宅は二酸化炭素の排出を抑えるための措置が講じられた環境に優しい住まいのことです。
長期優良住宅と共通する部分もありますが、長期優良住宅が長期の使用に耐えうる基準が設けられているのに対し、低炭素住宅は「省エネルギー性」に特化した認定制度と考えるとわかりやすいと思います。
低炭素住宅は省エネルギー性に特化した住まいですので快適な生活ができることはもちろん大きなメリットですが、長期優良住宅と同様にさまざまな税制上の優遇措置を受けられる点もメリットです。
低炭素住宅は長期優良住宅と比較しても認定のハードルが低く、同等レベルの税制上の恩恵を受けられることから人気のある制度です。ただし、長期優良住宅と同じく低炭素住宅も税制上の恩恵を最大限受けられる方はかなり限られますので、必ずしも金銭的メリットを享受できるわけではないという点には注意が必要です。
当ページでは低炭素住宅の認定基準・減税効果・メリット・デメリットについて詳しく解説して参ります。当ページを最後までご覧頂ければ、低炭素住宅認定を受けるべきかどうか?判断材料の一つとなると思います。注文住宅の家づくりを検討されているならば、ぜひ低炭素住宅についても学んでおきましょう。
目次
低炭素住宅とは
低炭素住宅とは、エコまち法(都市の低炭素化の促進に関する法律)で定められる「二酸化炭素の排出を抑制するための低炭素化に資する措置が講じられた住宅」のことを指します。ひらたく言えば「一定以上の省エネルギー性」であることを所管行政庁(都道府県や市または区)が認定した住まいです。
低炭素住宅は長期優良住宅よりも認定基準のハードルが低いうえ「税制上の優遇」や「補助金」において、長期優良住宅とほぼ同等クラスの措置を受けられるお得な認定制度です。税制上の特典を受けたい方は、長期優良住宅ではなくあえて低炭素住宅の認定を受けるケースも多いです。
ただし長期優良住宅とおなじく、税制上の優遇措置を最大限受けられるケースは限られるため「自分の場合どれだけの恩恵を受けられるのか?」という点はあらかじめしっかりと把握しておくべきでしょう。
低炭素住宅の認定基準
それでは低炭素住宅の認定基準についてみていきましょう。
低炭素住宅の認定基準は「定量的評価項目」と「選択的項目」に分かれています。定量的評価項目は全てを満たす必要があり、選択的項目はいずれか2つを満たすことで低炭素住宅の認定を受けられます。それぞれみていきましょう。
定量的評価項目
外皮の熱性能省エネ基準と同等以上の断熱性能(UA値)
省エネ基準と同等以上の平均日射熱取得率(ηAC値)
具体的には、以下の平成28年省エネ基準をクリアしていることが低炭素住宅の認定基準の一つとなります。
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基準UA値 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | – |
基準ηAC値 | – | – | – | – | 3 | 2.8 | 2.7 | 6.7 |
※8地域のηAC値の基準は2020年4月より基準値が3.2から6.7に変更になりました。
近年では標準仕様で上記UA値・ηAC値をクリアしている住宅メーカーも多いです。こちらの基準をクリアすることはそれほど難しくないと考えて良いでしょう。
なお、8地域のηAC値の基準が緩和されたのは、比較的温暖なエリアの8地域では、ηAC値を向上させるためだけに、断熱材の増量や窓断熱仕様のグレードアップをするのは現実的ではないため地域の実態を鑑みて緩和されました。
一時エネルギー消費量省エネルギー法で定める省エネ基準の一次エネルギー消費量▲10%を超える省エネ性能
一時エネルギー消費量については省エネルギー法で定められる省エネ基準の一次エネルギー消費量▲10%以上の省エネ性能であることが基準となりますが、こちらもそれほど難しい基準ではありません。近年であれば標準仕様でクリアしている住宅メーカーも多いです。
これら2つの定量的評価項目は、低炭素住宅の認定を受けるために必ず満たさなければならない必須項目となります。
選択式項目
前述の定量的評価項目にくわえて、以下に挙げる「選択式項目」のうち2つ以上の措置を講じることが低炭素住宅の認定基準となります。
・設置する便器の半数以上に節水に資する便器を採用している
・設置する水栓の半数以上に節水に資する水栓を採用している。
・食器洗い機を設置している
②雨水、井戸水または雑排水の利用のための設備を設置している。
④太陽光等の再生可能エネルギーを利用した発電設備およびそれと連系した定置型の蓄電池を設置している
・緑地または水面の面積が敷地面積の10%以上
・日射反射率の高い舗装の面積が敷地面積の10%以上
・緑化を行うまたは日射反射等の高い屋根材を使用する面積が屋根面積の20%以上
・壁面緑化を行う面積が外壁面積の10%以上
⑦木造住宅もしくは木造建築物である
⑧高炉セメントまたはフライアッシュセメントを構造耐力上主要な部分に使用している
選択的項目も比較的容易に条件を満たすことが可能です。
例えば木造住宅であれば、その時点で⑦の項目を満たしているため、あとは節水トイレか食器洗い機を設置するだけで選択的項目を満たせます。
低炭素住宅の認定基準は「住宅の省エネルギー性」に特化した内容のため、長期優良住宅のように「耐震性」や「バリアフリー性」などに関する項目はありません。基本的に低炭素住宅の認定基準は長期優良住宅の認定基準よりもハードルが低いと考えて良いでしょう。
一つ注意していただきたいのは、低炭素住宅の認定基準をクリアしているだけでは「認定低炭素住宅として扱われない(各種減税措置・補助金を受けられない)」という点です。長期優良住宅と同様に、さまざまな税制上の恩恵を受けるには、あくまでも上記の認定基準を満たしたうえで所管行政庁の認定を受けることが必要となります。
低炭素住宅の減税効果
政府が普及を促進する低炭素住宅は所管行政庁の認定を受けることで、税制上のさまざまな優遇措置を受けることができます。
- 住宅ローン控除の優遇
- 投資型減税(住宅ローン利用の有無を問わない)
- 登録免許税の減税
低炭素住宅の減税効果は長期優良住宅の認定と共通しています。
長期優良住宅はこのほか「固定資産税の減額期間の優遇」と「不動産取得税の減税」があるため、長期優良住宅のほうが若干減税の優遇措置は大きいですが、実際の差額は数万円から大きくても20万円前後となるケースが多く、低炭素住宅でもほとんど変わらないレベルの減税効果を受けることが可能です。低炭素住宅は長期優良住宅よりも基準のハードルが低いのに対して、ほとんど変わらないレベルの減税措置を受けられることから低炭素住宅認定は非常にお得感のある認定制度と言えるでしょう。
ただし長期優良住宅と同じく、場合によっては税制上の優遇措置であまり恩恵を受けられないケースもありますので、あくまでもそれぞれの優遇措置で「自分の場合、どれくらいの金銭的恩恵があるか?」という点を考えることが大切です。
低炭素住宅のそれぞれの減税措置について順番に解説していきますので、ご自身のケースにあてはめてチェックしてみましょう。
住宅ローン控除の優遇
低炭素住宅は、住宅ローン控除において優遇措置が適用されます。こちらの優遇措置は長期優良住宅で適用されるものと全く同じ内容となります。
住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、毎年の年末時点での住宅ローン残高の1%分の税額控除を受けられる「住宅ローン控除」という制度がございます。
低炭素住宅の場合、住宅ローン控除の額が一般住宅よりも優遇(増額)されます。一般住宅の場合は、年間で最大40万円の控除が上限となりますが、低炭素住宅では年間の控除上限が50万円となり「+10万円アップ」します。
住宅の種類 | 一般住宅 | 低炭素住宅 |
---|---|---|
控除対象となる住宅ローン借り入れ上限 | 4000万円 | 5000万円 |
控除期間 | 13年間もしくは10年間 ※2021年9月までの契約なら13年間 それ以降の控除期間は10年間 | |
控除率 | 1% | |
年間の控除限度額 | 40万円 | 50万円 |
控除期間の合計控除限度額 | 13年間の場合:520万円 10年間の場合:400万円 | 13年間の場合:650万円 10年間の場合:500万円 |
低炭素住宅は一般住宅と比較して、13年間の控除が受けられる場合は「最大130万円」、10年間の控除が受けられる場合は「最大100万円」の減税効果がありますが、あくまで「最大の控除を受けられる場合」に限ります。
住宅ローン控除はだれしも最大限の控除を受けられるわけではありません。
基本的に住宅ローン借り入れ金額が少なくとも4000万円以上でなければ恩恵はないと考えてください。
わかりやすいよう、2つのモデルケースをピックアップします。
まずは住宅ローンの年末残高が5000万円のケースをみてみましょう。
一般住宅の控除上限額は40万円なので税額控除は40万円となる
低炭素住宅の控除上限額は50万円なので、50万円まるまる税額控除される
年末時点の住宅ローン残高が4000万円を超える場合は低炭素住宅は税額控除の恩恵があります。
次に年末時点の住宅ローン残高が3000万円のケースをみてみましょう。
税額控除30万円
税額控除30万円
年末ローン残高が3000万円の場合は、一般住宅でも低炭素住宅でも住宅ローン控除の恩恵はありません。
少なくとも4000万円以上のい住宅ローン借り入れ額でなければ、低炭素住宅で住宅ローン控除の優遇措置を有効活用できないと考えましょう。
なお、住宅ローンの年末残高は、毎年じょじょに目減りしていきますので、控除期間(13年または10年)のうち全期間で最大限の恩恵を受けるには、少なくとも5000万円~6000万円の住宅ローン借り入れ額が必要となります。さらに住宅ローン控除は所得税・住民税から控除されるため、そもそも納めている所得税・住民税の合算が年間40万円未満の場合も恩恵が少なくなる可能性があります。
投資型減税制度(住宅ローンの利用の有無を問わない)
こちらの投資型減税についても、長期優良住宅とまったく同じ減税措置となります。
住宅ローン控除の優遇措置は、住宅ローンを利用した方のみが対象となる制度ですが、「投資型減税」は住宅ローンの利用の有無を問いません。ただし投資型減税制度と住宅ローン控除の優遇措置を併用することはできませんので、どちらかを選択することになります。
投資型減税制度は、住宅ローン控除の優遇措置に比べて減税効果が低いため、住宅ローンを利用して低炭素住宅を取得する方は「住宅ローン控除の優遇措置」を選択した方が金銭的メリットが大きくなります。
投資型減税の概要 | 内容 |
---|---|
控除対象となる限度額 | 650万円 |
控除期間 | 1年間(一度きり) |
控除率 | 10% |
控除の上限額 | 65万円 |
住宅ローン控除の優遇措置は、13年間(あるいは10年間)控除され続け「13年間で最大650万円の控除」「10年間で最大500万円の控除」となりますが、投資型減税は「最大65万円の控除(1度きり)」です。
投資型減税制度は住宅ローン控除に比べて減税効果が低いため、実質的に「住宅ローンを利用せずに現金一括で低炭素住宅を取得する方」や「住宅ローン返済期間を10年未満に設定する方」向けの優遇措置と言えます。
なお、投資型減税制度の控除額は「標準的な性能強化費用相当額×10%」です。
性能強化費用相当額は、一般住宅から低炭素住宅にアップグレードするためにかかった費用のことで、一律「住宅の床面積×45300円」で算定されます。
例えば、住宅の総床面積が100㎡だった場合は以下の算出額となります。
税額控除額 :453万円×10%=45万3000円
この場合は、45万3000円がその年の所得税から控除されます。もし控除しきれない場合は翌年分の所得税額から控除されます。
次に住宅の総床面積が150㎡だったモデルケースでシミュレーションしてみましょう。
税額控除額 :679万5000円×10%=67万9500円
ただし控除上限額は65万円なのでこの場合は65万円の控除
投資型減税制度では最大の控除上限額が65万円となるため、この場合は65万円の控除となります。
投資型減税の場合、総床面積が「143.49㎡」で控除上限の「65万円」に届いてしまうため、これ以上の床面積の場合は控除恩恵はすべて一定となります。
いずれにしても投資型減税は住宅ローン減税制度に比べて減税効果が低いため、住宅ローンを利用して低炭素住宅を取得される方は素直に住宅ローン控除の優遇措置を選択するべきと言えるでしょう。
登録免許税の優遇
低炭素住宅は登録免許税も優遇されます。
登録免許税とは、不動産(土地・建物)の所有権を登記する際にかかってくる税金のことです。
登録免許税は長期優良住宅でも優遇措置が適用されますが、低炭素住宅の方が税率の軽減率が優れています。一般住宅・長期優良住宅・低炭素住宅の登録免許税の税率を比較してみましょう。
登録免許税の概要 | 一般住宅 | 長期優良住宅 | 低炭素住宅 |
---|---|---|---|
保存登記 | 0.15% | 0.10% | 0.10% |
移転登記(戸建て) | 0.30% | 0.20% | 0.10% |
移転登記(マンション) | 0.30% | 0.10% | 0.10% |
低炭素住宅は、長期優良住宅よりも移転登記(戸建て)の税率が0.1%ほど優遇されています。具体的にどれくらいの金額がお得になるのか、土地評価額1000万円、建物評価額1200万円のモデルケースでシミュレーションしてみましょう。
建物の保存登記費用:1200万円×0.15%=1万8000円
建物の保存登記費用:1200万円×0.10%=1万2000円
建物の保存登記費用:1200万円×0.10%=1万2000円
このモデルケースの場合、登録免許税の合計金額は「一般住宅:48000円」「長期優良住宅:32000円」「低炭素住宅:22000円」となります。登録免許税の優遇に関しては、低炭素住宅がもっともお得になっています。
ただし、登録免許税は土地・建物を登記する歳に一度だけかかる税金なので、固定資産税のように毎年かかるわけではありません。減税効果としては1~3万円前後お得になる程度ですので、減税効果としてはそれほど大きくないと考えてよいでしょう。
低炭素住宅と長期優良住宅の減税効果の違い
低炭素住宅の減税効果は長期優良住宅と共通する部分がございますが、異なる部分もございます。わかりやすいように、低炭素住宅と長期優良住宅の減税効果について一覧表にまとめておきます。
概要 | 長期優良住宅 | 低炭素住宅 |
---|---|---|
住宅ローン控除の上限額 | 500万円(10年間の場合) 650万円(13年間の場合) | |
投資型減税制度の控除上限額 | 65万円 | |
登録免許税 | 保存登記0.1% 移転登記0.2% | 保存登記0.1% 移転登記0.1% |
固定資産税の減額期間 | 5年間(2分の1に減額) | – |
不動産取得税の控除額上限 | 1300万円 | – |
低炭素住宅は長期優良住宅とちがって「固定資産税の減税期間延長」と「不動産取得税の優遇」は特にありません。
この点においては長期優良住宅の方がややお得感がありますが、登録免許税は低炭素住宅の方が税率が低く設定されています。このように低炭素住宅と長期優良住宅は税制上の特典が微妙に異なるものの、率直に申し上げて減税効果の違いは大きくありません。どちらも最大限の減税効果を受けられるとしても両者で金銭的な差がでるのは大きくても20万円以内程度です。長期優良住宅の方が減税効果は少し大きいですが、低炭素住宅の方が認定基準のハードルが低いことを考えると、低炭素住宅の方がお得感はあると言えると思います。
低炭素住宅のメリット
低炭素住宅は各種の税制上の優遇措置を受けられるほか複数のメリットがあります。いったん低炭素住宅のメリットをまとめておきます。
- 各種税制上の軽減措置を受けられる
- 住宅ローン金利が優遇される(フラット35を利用する場合)
- 建物の資産価値が高く評価される
- 補助金がでる可能性がある
- 容積率が緩和される
- 高断熱住宅で快適な温熱環境が実現
- 光熱費が抑えられる
- 維持管理計画の策定が義務付けられていない
それでは順番に説明してまいります。
各種税制上の軽減措置を受けられる
前述のとおり、低炭素住宅は各種税制上のさまざまな優遇を受けることができる点がメリットといえます。
低炭素住宅で税制上の優遇措置を受けられるのは「住宅ローン控除の優遇」「投資型減税」「登録免許税の優遇」の3種類です。ただし住宅ローン控除の優遇と投資型減税は重複して利用することができませんので、実質的には2種類の税優遇にとどまります。
低炭素住宅の税制上の優遇も長期優良住宅の税制優遇と同じく、誰もが最大限の恩恵を受けられるわけえはなく、収入や住宅ローン借り入れ金額、取得する不動産の評価額によっても恩恵の多寡は異なります。
この点はご自身のケースにあてはめて、低炭素住宅の認定を受けた場合、どれくらいの金銭的メリットを享受できるのか把握しておくことが大切です。
住宅ローン金利が優遇される(フラット35を利用する場合)
低炭素住宅の認定を受けると、住宅ローン商品「フラット35」を利用する場合に金利面が優遇された「フラット35S(金利Aプラン)」を利用することができます。
フラット35Sは省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性・耐久性・可変性などが優れた住宅を取得する場合に利用できる住宅ローン商品で、固定金利の引き下げ期間が設けられたお得な住宅ローン商品です。
フラット35Sには「金利Aプラン」「金利Bプラン」の二種類があり、それぞれ金利の引き下げ期間が異なります。
フラット35S金利プラン | 金利の引下げ幅 | 金利引き下げ期間 |
---|---|---|
金利Aプラン | 年▲0.25% | 当初10年間 |
金利Bプラン | 年▲0.25% | 当初5年間 |
低炭素住宅の認定を受けた場合は、よりお得な「フラット35S 金利Aプラン」を利用することができます。
金利Aプラン・金利Bプランでは金利の引き下げ幅は同じですが、金利引き下げ期間が異なり、金利Aプランの方が金利引き下げ期間が長いためお得です。
なお、フラット35S金利Aプランを利用できるのは低炭素住宅だけではなく、「長期優良住宅」「一時エネルギー消費量等級5」「耐震等級3」「高齢者等配慮対策等級4」のいずれかお基準を満たせば利用することが可能です。
建物の資産価値が高く評価される
低炭素住宅の認定を受けた建物は、一般住宅にくらべて資産価値が高く評価される傾向があります。
低炭素住宅の認定を受けた時点で、その建物は所管行政庁から「省エネルギー性」を評価された住宅ということになります。一般住宅と比べて温熱環境の面で優れているため、資産価値もそれだけ高く評価される可能性があります。
将来的なリセールバリュー(再販価値)を考えた場合、低炭素住宅はメリットがあると言えます。
補助金がでる可能性がある
低炭素住宅を建築する場合、国土交通省の「地域型住宅グリーン化事業」により補助金をいただける可能性があります。
この補助金制度は低炭素住宅と長期優良住宅は非常に似ているため、併せてご紹介させて頂きます。
概要 | 長期優良住宅 | 低炭素住宅 |
---|---|---|
補助金額上限 | 110万円 | 70万円 |
加算額 | ①主要構造材に地域材を過半において使用する場合+20万円 ②三世代同居加算+30万円 ③若者・子育て世帯加算+30万円 | |
加算額 | ④省エネ強化加算+30万円(補助上限額の引上げ) | – |
補助要件 | 認定長期優良住宅 主要構造部に地域材使用 | 認定低炭素住宅または性能向上計画認定住宅 主要構造部に地域材使用 |
低炭素住宅の補助金上限は「70万円」ですが、特定の条件を満たした場合には加算額がもらえる可能性があります。加算額を含めると「最大100万円」の補助金をもらえる可能性があります。
最大100万円の補助金がもらえるとなれば非常に大きなメリットですが、地域型住宅グリーン化事業の補助金は条件が厳しく貰えないパターンも多いので注意しましょう。
そもそも地域型住宅グリーン化事業に採択された中小工務店で低炭素住宅を建てる場合でなければ補助金の交付対象になりません。大手ハウスメーカーで低炭素住宅を建てても補助金はもらえない可能性が高いです。最大100万円の補助金はかなり大きなメリットではありますが、補助金が出るかどうかで施工会社を決め手しまうのは早計と言えるでしょう。
注文住宅のマイホーム計画において住宅メーカーの選定は最重要ポイントです。「補助金の採択事業者かどうか?」という点だけで住宅メーカーを選ぶのではなく、その他さまざまな条件を吟味したうえで、最終候補として残す工務店を決めるべきです。最終候補のなかに地域型住宅グリーン化事業の採択工務店があれば、検討しても良いと思います。なお、地域型住宅グリーン化事業に採択されているグループに属する工務店については以下のリンクより確認してみましょう。
容積率が緩和される
低炭素住宅の認定を受けると、容積率が緩和されるメリットがございます。
容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことで、住宅の広さに大きく影響します。
低炭素住宅では「建物の低炭素化に必要な設備を設置する場合、通常の建築物の床面積を超える部分については容積率に算入しない」という緩和措置が適用されます。ただし、延べ床面積の20分の1が上限となります。
例えば、低炭素住宅にするために太陽光発電システムと連携した蓄電池を設置する場合、蓄電池を設置する面積は容積率に含めないため、その分部屋を広くすることも可能ということです。
高断熱住宅で快適な温熱環境が実現
低炭素住宅は省エネ基準と同等以上の外皮の熱性能(UA値・ηAC値))を有しているので一般住宅と比べて省エネルギー性能(断熱性)に優れ、夏・冬ともに快適な温熱環境を実現しやすいメリットがあります。
ただし低炭素住宅の認定基準はそれほど厳しいものではありません。低炭素住宅の基準をギリギリクリアするレベルの省エネ性能の場合はお住まいのエリアによっては必ずしも快適ではないかもしれません。お住まいのエリアによっては低炭素住宅の基準を過信しすぎないように注意しましょう。
光熱費が抑えられる
前述のとおり、低炭素住宅は省エネルギー性に優れており、夏・冬ともにエアコン等の光熱費を安く抑えることが可能です。
なお、低炭素住宅は「節水対策」に関する認定基準(選択的項目)もあり、節水対策の設備を採用した場合は水道代の削減にも期待できます。光熱費や水道代の生活に必要不可欠なランニングコストを安く抑えられる点は低炭素住宅の大きなメリットと言えるでしょう。
維持管理計画の策定が義務付けられていない
この点は一般住宅と比べた場合のメリットではなく、長期優良住宅と比較した場合のメリットです。
低炭素住宅と長期優良住宅はよく比べられる制度ですが、大きな違いとして長期優良住宅は「維持管理計画の策定」といって少なくとも10年に一度は点検メンテナンスを行わなければならないというルールがあります。その点、低炭素住宅は特に維持管理計画の策定が義務付けられていませんので、低炭素住宅の方が住み始めてからの点検スケジュールの自由度は高いと言えるでしょう。
とはいえ低炭素住宅だからといって手入れなしで住み続けられるわけではありません。一般住宅でも低炭素住宅でも、少なくとも10年に一度程度は点検メンテナンスは行うべきです。住宅は経年によって必ず劣化していきます。そして劣化部分はなるべく早い段階で補修メンテナンスをした方が費用は安く収まるケースが多いです。
低炭素住宅はいくら点検メンテナンスが義務付けられていないといっても、できれば長期優良住宅と同じく少なくとも10年に一度程度は点検メンテナンスを行うのが望ましいです。
低炭素住宅のデメリット
次に低炭素住宅のデメリットについてもチェックしていきましょう。低炭素住宅もメリットがある半面、デメリットもございます。低炭素住宅の認定を受けるべきかどうかデメリットを確認したうえで判断することが大切です。
- 建築コストが高くなる
- 申請するコストがかかる
- 市街化区域でないと申請できない
建築コストが高くなる
低炭素住宅は一般住宅に比べて省エネルギー性に優れた住宅であるため、建築コストが高くなるデメリットがあります。
ただ、ほぼ同程度の税制上の特典のある長期優良住宅と比較すると低炭素住宅のほうが建築コストは安く収まるケースが多いです。なお、近年では低炭素住宅の認定基準を標準仕様でクリアしている住宅メーカーも多く、標準仕様で低炭素住宅の認定基準をクリアしている工務店であれば、追加の建築コストをかけることなく、ほぼ申請コストの負担のみで低炭素住宅認定を受けることも可能です。
また低炭素住宅は一般住宅に比べて省エネルギー性能に優れているため、住み始めてからのランニングコストが安くなるため、長期的には建築コストをペイすることも可能でしょう。
低炭素住宅の追加建築コストは各住宅メーカーの標準仕様によって)大きく異なりますので、住宅メーカーそれぞれに「低炭素住宅仕様にした場合、建築コストはどれくらい上乗せになるか」を具体的にヒアリングすることをオススメします。
申請するコストがかかる
低炭素住宅は認定を受けるための申請にお金がかかることもデメリットの一つと言えるでしょう。
低炭素住宅の申請にかかるコストは、施主がすべて個人で行うとすればおおよそ「5万円前後」です。ただし、施主が低炭素住宅の申請に必要な書類をすべて用意し、技術的審査や所管行政庁への提出を行うのはあまり現実的ではありません。実際には住宅メーカーに申請を代行してもらうか、あるいは外部の代行サポート会社に依頼するケースが多いです。低炭素住宅の申請を代行していただく場合は申請費用の実費に追加して代行手数料が上乗せされ「およそ10~20万円前後」の料金となることが一般的です。
低炭素住宅は申請にかかるコストも建築コストの一部と考え、各種減税の優遇と照らし合わせて金銭的なメリットがどれくらいあるかを判断すべきでしょう。
市街化区域でないと申請できない
低炭素住宅は、エコまち法で定められる「都市の低炭素化が目的」となる制度です。そのため、低炭素住宅は都市計画法に定められる「市街化区域」に該当するエリアでなければそもそも認定を受けることができません。低炭素住宅の認定を受ける場合は、建築予定地が「市街化区域」に指定されているかどうかの確認が必須項目と言えるでしょう。
一般住宅・低炭素住宅・長期優良住宅の比較表
ここまでに解説した低炭素住宅の要点を一覧表にまとめておきます。
一般住宅と長期優良住宅と比較してみてください。
概要 | 一般住宅 | 低炭素住宅 | 長期優良住宅 |
---|---|---|---|
住宅ローン控除の上限額 | 400万円(10年間の場合) 520万円(13年間の場合) | 500万円(10年間の場合) 650万円(13年間の場合) | |
固定資産税の減額期間 | 3年間(2分の1に減額) | 5年間(2分の1に減額) | |
不動産取得税の控除額上限 | 1200万円 | 1300万円 | |
登録免許税 | 保存登記0.15% 移転登記0.3% | 保存登記0.1% 移転登記0.1% | 保存登記0.1% 移転登記0.2% |
フラット35を利用する場合 | – | フラット35S金利Aプランを適用できる (当初10年金利▲0.25%) | |
補助金 | – | 70万円+α | 110万円+α |
維持保全計画 | – | – | 少なくとも10年に一度の点検・補修計画 30年以上の維持保全計画を実施 |
地震保険の割引 | – | – | 少なくとも30%割引 |
建築コスト | – | 建物の標準仕様によるが数万円の追加費用でも実現可能 | 建物の標準仕様によるが+10~20%増となるケースが多い |
申請コスト | – | 5~6万円 (代行なら10~20万円) | 5~6万円 (代行なら20~30万円) |
税制上の恩恵を受けたいなら低炭素住宅はオススメ!
低炭素住宅の減税効果、その他メリット・デメリットについてなんとなくご理解いただけたでしょうか?
結論を申し上げると低炭素住宅は長期優良住宅に匹敵する税制上の恩恵を受けられるうえ、長期優良住宅よりも認定基準のハードルが低いです。もともと断熱性能にチカラを入れている住宅メーカーであれば、ほとんど追加の建築コストをかけることなく低炭素住宅の基準をクリアできることも多いため、もしあなたが低炭素住宅で受けられる税制上の恩恵が大きいのであれば、標準仕様で認定基準を満たす住宅メーカーを候補に検討するのも賢いと思います。
もし低炭素住宅の認定を受けるかどうか判断に迷っておられるなら、専門家に一度相談してみることをオススメします。
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特に低炭素住宅や長期優良住宅などの認定制度は制度そのものがややこしいうえ、施主の収入や住宅ローン借り入れ額によって受けられる恩恵も変わってきます。だからこそ、相談員の質はとても重要。HOME4Uならば、あなたが建てたい家のスペックと収入や住宅ローン借り入れ予定額を相談するだけで税制面や各種認定制度についても的確なアドバイスをいただけるはずです。例えば、以下のようなイメージをして頂けるとわかりやすいと思います。
長期優良住宅でいくら減税効果があるのか気になっていて…。
私の条件だと、具体的にいくらくらいの減税効果がありますか?
○○様の場合、長期優良住宅の認定を受けた場合はおよそ120万円ほどの減税効果があります。しかし候補のA工務店だと長期優良住宅仕様にグレードアップするのに+100万円ほどの建築コストがかかってしまいます。申請コストとあわせると長期優良住宅の減税メリットはほぼ相殺されてしまいますね。
そうですか。
それなら無理して長期優良住宅にする必要はないかもしれませんね。
建築コストをかけずに税制上の恩恵を受けるなら、長期優良住宅よりも低炭素住宅がお得です。
B工務店ならほぼ標準仕様で低炭素住宅の基準をクリアしているので、追加の建築コストをほとんどかけずに認定を受けられます。申請コストとして+10万円ほどかかりますが、低炭素住宅の減税効果が「およそ100万円ほどの減税効果」がありますので、申請コストを差し引いても90万円以上はお得になります。
それはお得ですね!
さらにB工務店は地域型住宅グリーン化事業の採択グループに属しているため、B工務店で低炭素住宅を建築すれば「70万円~100万円」の補助金が貰える可能性もあります。
すごい!
それならぜひB工務店もみてみたいです。
税制上のメリットや補助金がでるかどうかも大切な比較ポイントですが、もちろんB工務店の家そのものを気に入るかどうかが一番大切です。もしB工務店が○○様のイメージに合わない場合は、近い条件で低炭素住宅を建築できる住宅メーカーをこちらで探しますので何度でもご相談ください。
このような具体的なアドバイスを頂けると、住宅メーカー選びも非常にスムーズに進むはずです。
低炭素住宅・長期優良住宅・ZEH住宅など税制上の特典を受けられる認定制度は複数ありますが、あなたの場合ならどの認定制度を利用するのがもっとも減税効果が高いのか?専門的な見地から「この認定を受ければ税金がトータルいくらお得になる」という点がわかるだけでも相談する価値は十分あります。
税制面のメリットは施主ひとりひとりの条件によって異なる部分のため、ぜひ一度は専門家のアドバイスを聞いてみてください。
もちろんHOME4Uの住宅相談は完全無料。一切料金がかかりませんのでご安心ください。オンラインサービスですので、ご自宅にいながらご自身の条件・要望をお話するだけで最適なアドバイスを頂けます。
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まとめ
低炭素住宅の各種減税効果・メリットとデメリットについては以上となります。
低炭素住宅はさまざまな減税効果、メリットがあり、その多くは長期優良住宅と共通する部分がございます。長期優良住宅と同じく、税制上の恩恵を最大限受けられる方は限られるため、ご自身の条件にあてはめてご自身にとって「よりお得な選択」をして頂くべきです。
低炭素住宅の認定を受けるか、それとも長期優良住宅か、あるいはZEH住宅の認定を受けるべきか?
判断に迷った場合は、ぜひ一度「HOME4U家づくりのとびら」で無料のオンライン相談を試してみてください。あなたの収入・住宅ローンの借り入れ額・希望の建物のスペックなどからあなたにとってベストな選択はどれか?的確なアドバイスをしていただけるはずです。
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